「何でも出来ます」よりも
「この領域なら負けません」と言えるデザイナーに。
私はそう言えるデザイナーになりたくてインハウスデザイナーになりました。
今回はデザイナー歴20年の内、インハウスデザイナー歴10年の私が、インハウスデザイナーのメリットとデメリットを実際に働いている経験をもとに、かなり詳細にご紹介します。
この記事を書いている私は、デザイナー歴20年。アートディレクターとしてデザイン業界で働きながら、ライフスタイルブログ「LIVINGSKAPE-リビングスケープ-」、その他にもお金のブログ「MONEYDOSCOPE-マネードスコープ-」や子育てブログ「dotmomdad-ドットマムダッド-」を運営。Instagramのインテリアアカウントは現在フォロワー10万人。インテリアコーディネートやライフスタイルに役立つ情報を発信しています。
インハウスデザイナーのメリット6つ
私が実際にインハウスデザイナーとして働く中で感じるメリットは以下の6つです。
- デザインしたものの結果が見られる
- 売り上げノルマで評価されない
- ライフワークバランスを維持できる
- 色んな職種の人に触れることができる
- グラフィックデザイン以外にもチャレンジできる
- それらの経験を副業へ生かすことができる
ひとつずつ詳しく解説します。
1.デザインしたものの結果が見られる
例えば販促チラシ。デザイン会社の場合、チラシのデザイン依頼があっても、納品したらそこで仕事は終わり。
その販促チラシによって
- どのくらい商品が売れたのか
- 反響はどのくらいあったのか
など、納品後のことが伝わることはあまり多くありません。
でもインハウスの場合は違います。
自分のデザインしたものが、どのくらい反響があって、どれほどの成果が出たのかを知ることができます。
これは自身のクリエイティブを高めるきっかけになったり、知識としても蓄積され、「納品したら終わり」という仕事の仕方よりも圧倒的に自身を成長させることができると思います。
2.売り上げノルマで評価されない
今までは仕事への評価は売り上げノルマが全てでした。質よりも量をこなす方が評価されていました。
でもインハウスの場合は量よりも質です。
ひとつひとつの案件を丁寧に自分の納得のいくまで突き詰めることができます。
もちろん急ぎの案件も多いですし、締め切りがあるのでいつまでもダラダラと考えている時間はないのですが、それでも1案件に掛けられる時間は、デザイン会社の時よりも格段に多くなりました。
デザインと向き合う時間が増え、アウトプットのクオリティが上がり、その結果を会社に評価される今の環境は、デザイン会社にいた時よりも早いスピードで成長している自分を実感でき、モチベーションも維持できます。
それ以上に自分の作るデザインがすべて納得のいくものになっている、というのはデザイナーなら誰しもが分かる嬉しい結果だと思います。
時間的制約やクライアントな趣味嗜好に合わせて、自分の中では納得のいかないものを納品することは往々にしてありますが、やっぱり少しモヤッとしちゃいますよね。
3.ライフワークバランスを維持できる
デザイン会社はクライアントワークなので、自分の時間を犠牲にしてでも先方の指定納期を守るのが絶対です。
でもインハウスデザイナーの場合は、デザイナーの進行スケジュールに合わせてプロジェクトを組み立てることができるので無理なスケジュールになることがあまりありません。
ない、というよりも「調整できる」という感じです。プロジェクト会議の際に現実的に可能なスケジュールを提示すればいいわけです。
さらに、デザイン部署以外はみなさん一般職の人達です。デザイン会社に勤めていた時は考えられませんでしたが、今の会社は20時を過ぎると人は殆どいなくなります。自ずと自分たちも20時までには仕事を済ませて、帰れるようにスケジュールを組むようになり、プライベートの時間をしっかり持つことができます。
プライベートの時間が増えると、インプット量が増えてデザインとしてアウトプットでき、結果的に会社のためになる、という好循環が生まれます。
あと今は働き方改革の名の下に、企業も就業時間に対する管理は厳しくなっています。小さなデザイン事務所であれば36協定を盾に無理な働かせ方をしている会社もあるかもしれませんが、ある程度の規模の企業は株主の目もあるため、その辺りはかなりしっかり管理されています。
4.色んな職種の人に触れることができる
デザイン会社に所属していると、周りに居るのはデザイナーか営業になりますが、インハウスの場合はあらゆる職種の方々に触れることが出来ます。
- 広報
- 経理
- 総務
- CS
- 研修
- 採用
など、デザイン会社では関わることのない職種の方と仕事を共にすることで、自分の中の見識が確実に広がります。
同じ会社で、同じ方向を向きながら、それぞれ別の仕事をしているという感覚はデザイン会社では味わえない環境です。
5.グラフィックデザイン以外にもチャレンジできる
私は基本的にはグラフィックデザイン専門だったので、デザイン会社にいる時は紙物のデザイン、主にチラシやパンフレットなどを担当することが多かったのですが、インハウスデザイナーになると、状況は変わりました。
社内にはデザイナーと呼ばれるスタッフが私の部署にしかいないため、「デザイン」と名のつくもの、それに近しいカテゴリのものはすべて相談が来ます。例えば…
- WEBデザイン
- パッケージデザイン
- アプリのUIUX
- 料理のビジュアル監修
- 新サービスのネーミング
- 撮影ディレクション
- スタイリング/コーディネート
- プロダクトデザイン
- SNS運用
などなど、デザイン会社では経験出来ないことにたくさんチャレンジすることができます。
デザイナーだからといって、デザインと名のつくものなら完璧にこなせる訳はありません。デザイン会社の場合はお金を頂いて進める仕事なので、最初から完璧に出来る必要がありますが、インハウスの場合は社内なので、やりながら覚える、という進め方ができるところも魅力ですね。
6.それらの経験を副業へ生かすことができる
本業の中で培った知識を副業へと生かすことができます。
現在、国の政策の影響もあり、企業は積極的に副業を薦めています。私の会社の場合は副業の内容を申請し、受諾されると本格的に活動することが許されます。
私の場合は、本業で培った
- デザイン力
- スタイリング・コーディネート
- SNS運用
これらを生かして今はInstagramのインフルエンサーとして活動しているのに加えて、ブログのアフィリエイターとしても月7桁の売り上げを生み出すブログ運営をしています。
インハウスデザイナーの場合、一般的なデザイン会社よりもライフワークバランスが取りやすいので、朝活や終業後、休日などを副業に充てることが可能です。(デザイン会社の頃は、家に帰れば、脳も身体もくたびれた状態で何もでやる気が起きませんでした笑)
今やデザインの仕事をしていない人でも、「写真の構図や撮影、スタイリング、SNS運用スキル」は必須のスキルになりつつあります。そんな中グラフィックデザイナーは本業としてそのノウハウを培っているわけですから、もうすでにインスタ運用における撮影スキルや編集技術は備わっています。
つまりコンテンツさえ思い付けば、デザイン的に訴求力のあるクリエイティブを発揮できるので、Instagramでインフルエンサーになれるベースは整っていると言えます。
インハウスデザイナーのデメリット3つ
一方で私が実際にインハウスデザイナーとして働く中で感じるデメリットは以下の3つです。
- 作業環境があまり良くない
- 給料が上がりづらい
- スキルアップは自分次第
ひとつずつご説明します。
1. 作業環境があまり良くない
これは致し方ないことなのですが、デザイン会社のように皆がデザインに静かに集中しているような環境ではなく、色んな仕事をしている人がたくさんいるので、基本的に周りは騒がしいです。
静かな環境の方が集中できる人には少し厳しいかもしれませんが、喫茶店など周りがざわざわしている方が集中できる人には全く問題ないと思います。
私は基本静かな方が集中できるので、最初は慣れなかったのですが、10年も居るといつの間にか慣れていました笑。ただアイデア出しの際は在宅業務をさせてもらい、集中してデザイン出しをしていました。
2. 給料が上がりづらい
デザイン会社の場合、インセンティブや残業で給与が上がりやすい傾向にありますが、基本的にインハウスの場合はそういったものはありません。
残業は殆どなく、売り上げ目標もないため、基本給のみとなり、役職が上がれば役職給がプラスされる程度です。
私も10年勤めて40歳になった今も、デザイン会社に勤めていた29歳当時にもらっていた年収に届いていません。
ただし、毎日23時まで働き、平日は徹夜を1〜2回、休日は土日どちらか出勤して、稼いでいたお金です。今は10時19時でしっかり上がれて、副業も出来る環境なので、単純に会社の給料だけだと当時の年収は超えていませんが、副業を含めると1.5倍から2倍程度になることができました。
3. スキルアップは自分次第
デザイン会社のように意識しなくても常に新鮮なデザインに触れられる環境ではないので、情報に敏感になり常にインプットする意識を高く持っていないと、自分の中の感性がトレンドアウトしてしまいます。常に新しい情報に触れ、吸収する意識を高く持つ必要があります。
社内コンペや競い合う意識があまりないため、インハウスの場合、何もしなくても仕事が回ってしまう怖さはあります。常にトレンドに触れ続ける意識がないと、デザイナーとしても価値やセンスは落ちてしまうと思います。
ただ、これは本当に自分次第です。デザイン会社に居たとて、成長意欲が無ければ同じこと。場所に原因を求めてはいけません。すべては自分の気持ちと行動次第です。
インハウスデザイナーがダサいと言われるワケ
多分、「インハウスデザイナーがダサい」と言われるワケはここにあります。
インハウスデザイナーは、社内に対してしか意識が向かず、自分のデザインが世の中から見た時にどのレベルかどうかを俯瞰で見ることができなくなってしまうことが往々にしてあります。
デザイン会社の場合、自分たちのデザインはクライアントに判断されますが、インハウスの場合はすべて社内で完結します。
そこに関わる人間が周りにアンテナを張っているから否か。社内でいいと評価されているものが、世の中的に見た時にどうか。自社内だけで優秀かどうかを判断するのではなく、他社や業界全体のトレンドと比較してどうか。
インハウスデザイナー=ダサい、ではなく、クライアントワークをしているデザイン会社よりも、インハウスデザイナーの方がトレンドから遠い状況になり得る可能性が高い、というだけだと思います。
つまり、意識の問題です。私はインハウスデザイナーがダサいと思ったことは一度もありません。むしろ、デザイン会社のデザイナーのようになんでも出来るオールラウンダーではなく、その業界に特化したスペシャリストであることに誇りを持っています。
「なんでも出来ます」
ではなく、
「この領域なら負けません」
と言えるデザイナーになりたいと思います。
インハウスデザイナーへ転職するための2つの方法
デザイン会社からインハウスデザイナーに転職する際に私が実際に行ったおすすめの方法はこちらの記事で詳しくご紹介しています。
私はこの方法でインハウスデザイナーになりました。この方法を基本形として、他と併用すれば完璧です!
この2つの方法を使えば、効率よく転職ができると思います。ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
インハウスデザイナーのメリット
- デザインしたものの結果が見られる
- 売り上げノルマで評価されない
- ライフワークバランスを維持できる
- 色んな職種の人に触れることができる
- グラフィックデザイン以外にもチャレンジできる
- それらの経験を副業へ生かすことができる
インハウスデザイナーのデメリット
- デザインしたものの結果が見られる
- 売り上げノルマで評価されない
- ライフワークバランスを維持できる
- 色んな職種の人に触れることができる
- グラフィックデザイン以外にもチャレンジできる
- それらの経験を副業へ生かすことができる
最後に
今回はデザイナー歴20年の内、インハウスデザイナー歴10年の私が、インハウスデザイナーのメリットとデメリットを実際に働いている経験をもとに、かなり詳細にご紹介しましたがいかがだったでしょうか。インハウスデザイナーへの転職をお考えの方の参考になれば嬉しいです。最後までお読みいただきありがとうございました。